実験用耐熱ガラスから作る独特な手法
ビーカーなどに用いられる実験用耐熱ガラスを、バーナーの炎で柔らかくして成形するバーナーワークという手法で、ひとつひとつ丁寧に手作りする新潟県柏崎市に工房を構える硝子工房のクラフト・ユーさん。バーナーワークという新たなジャンルを築き上げた第一人者の徳間保則氏をはじめ、今では二代目純一氏とおふたりで、バーナーの炎と手の感覚を頼りに毎日ものづくりに励まれています。職人がひとつひとつ手掛ける、バーナーワークでの作業風景をご紹介します。

バーナーの炎の力で
バーナーワークは、大小様々なガラス管を一定に回転させながら、バーナーの炎を均一にあて温めて、自在に形を変えていく手法のことです。この手法は、作り手の熟練した知識と手の感覚、吹きかける息の強さで、良し悪しが決まります。作業上、クーラーも扇風機もつけない暑い締め切った工房の中で、バーナーの炎と手の感覚だけを頼りにひとつひとつ手掛けていく姿は、すごい!の一言です。ガラス管からこんなにカッコいいポットを作り出すなんて、驚きしかありません。

細かな部分も丁寧に
異なる大きさのガラス管の柔らかさの頃合いをみて、口に咥えたパイプからガラス管に空気を吹き入れます。だんだんと膨らんでくるガラス管を、思いのままの形に変貌させていきます。形が決まったら、次に切り離し作業です。ハサミなどの道具は使わず、バーナーの炎の勢いで焼き切ります。まるで、ガラスが自らの意思をもって動いているかのような不思議な光景です。バーナーの炎が燃え出た工房で、それぞれのパーツごとに作られた本体、注ぎ口、蓋を付け合わせて仕上げていく作業が、絶えず繰り返されていきます。

素材の特性を活かす
耐熱ガラス(硼珪酸ガラス)は、ガラスの成分の大半が珪酸と硼酸でできています。透明で匂いがつきにくく衛生的で、耐化学性(=表面上の化学変化)が起こりにくく、耐熱性に優れているという特長があります。臭い移りや色移りがしにくいため、紅茶の風味を損ないません。
クラフト・ユーの作り手のこと

徳間保則氏とはじめてお会いしたのは、10数年ほど前のものづくりの展示会でお花を生ける箸置きに目を奪われてのことでした。柔らかな物腰でご自身が作られる製造工程を楽しそうにお話してくださったことを今でも覚えています。そんな徳間保則氏は耐熱ガラスメーカーから転身、今の工房を1991年に立ち上げられました。昭和のバブル期、大量生産・大量消費のオートメーション化へ社会構図が変化していく中、人生のターニングポイントが訪れたと感じたそうです。そこで耐熱ガラスメーカーでの経験と知識、慣れ親しんだ素材を活かし、自分だけができることを模索して、行き着いたのがバーナーワークだったと言います。素材を知り尽くしているからこそ、耐熱ガラス特有の成形技法を駆使して、これだけ薄くて軽い実用性のある硝子製品を日々作り出していけるのだと思います。
クラフト・ユーの商品一覧
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