Noda Horo / 野田琺瑯

野田琺瑯株式会社

琺瑯作り一筋に1934年の創業以来80年以上、熟練の職人の方によってひとつひとつ丁寧に手作りされている野田琺瑯さん。
「道具は人の手だすけになり、心がやすらぎ、安心して使えるものでなければならない」との理念のもと、定番のホワイトシリーズや日用品、そして業務用である理化学製品に至るまで幅広く取り扱っています。強い鉄と、衛生的なガラスの利点を併せ持つ琺瑯。最盛期には100社近くの琺瑯メーカーがありましたが、今ではその数は減り続けています。琺瑯製品は、鉄を成形してから製品に仕上げるまでに多くの工程があり、時間も手間もかかります。 野田琺瑯さんは琺瑯づくりの全行程を自社で一貫して行っている数少ない作り手です。
鉄にガラス質の釉薬をかけて焼き上げる琺瑯は、酸や塩分に強く、匂い移りの心配がなく、耐久性・耐熱性に優れ、そのまま火にかけることもできます。 使い勝手を最優先したシンプルなデザインと清潔感のある白の保存容器は、暮らしの定番品となること間違いありません。


1. 消費者目線から生まれた

自社製品に囲まれた野田家の台所を担う、社長である野田靖智さんのお母さまでいらっしゃる野田善子さんが主婦として、一消費者として、「冷蔵庫用保存容器が欲しい」という思いから発想したのがホワイトシリーズです。今の住宅は気密性が高く、安定した低温で保管したいとなると冷蔵庫に頼るしかない… 冷蔵庫内の限られたスペースに、効率よく多くのものを収納するためには、蓋のある容器が必要だと考え、新たに開発されたのがホワイトシリーズです。
台所での実践を重んじるからこそ仕上がった、主婦の強い味方と言えるべき道具の誕生。今では当たり前の白い琺瑯ですが、昔は琺瑯製品と言えば、色や柄のあるものがほとんどで、白いホワイトシリーズは斬新な琺瑯製品として発売されます。発売から10年後には「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞するほどの実力は言うまでもありません。

2. 多くの工程から

鉄板を成形しやすいように丸く抜き、金型に合わせて機械を調整するところから始まります。金型に合わせて鉄板をプレスすることを繰り返し、一枚の板が容器の形へと変貌します。形ができたら、釉薬の付きをよくするために綺麗に洗浄します。

いよいよガラス釉薬を施していきます。やっとこを使い、下地の容器を掴み下釉薬(グランドコート)を均一につけて、自然乾燥させてから焼くと、不思議?黒色のガラス質に仕上がります。次に上釉薬(カバーコート)です。下釉薬同様、やっとこで容器本体を掴み遠心力を使って素早く振り払いながら釉薬を均一にしていきます。これぞ、職人技と言える早業です。釉薬を施した容器は繊細なため触ることができません。V字の金具を使って吊るしてからコンベアで工場中を回り乾燥させていきます。

ムラなく乾燥した本体の底面にひとつずつロゴを捺印し、約850℃で焼いていきます。容器全体が赤くなり鋼板とガラス質が密着します。焼成炉の中で除熱、焼成、除冷が終わり、炉から出てきたそれは、まさに美しい光沢ある乳白色のホワイトシリーズに仕上がっています。

野田琺瑯の作り手のこと


全ての画像提供元:野田琺瑯株式会社
機械ではなく、やっとこなど昔ながらの道具を用いてひとつひとつ釉薬を施釉し、製品を金具で吊るして焼成する一連の作業は全て手作業でおこなわれています。全ての製品に釉薬を均一に美しく施すようになるまでには少なくとも10年はかかるそう。これだけの手作業で丁寧に時間をかけて作る野田琺瑯さんの製品を手掛けるには、長い経験が必要なのだと、改めて実感します。

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