伝統を受け継ぐ精神
伝統工芸に認定された南部鉄器の産地 岩手県奥州市水沢に工房を構える空間鋳造さんは、伝統と技術を守りながら、守破離(=修行における過程)の精神で「鉄の持つ素材の原点を表現」「空間に程よい緊張感を与える」「日本古来から伝わる、美、素、質を再構築した意匠」を兼備したものづくりをしています。空間鋳造さんのものづくりの精神は、新しい技術を取り入れながら、伝統を守り今の暮らしに合うプロダクトを生み出す、新たな鉄器の地位を確立するのにひと役買っているのだと思います。
鋳物が根付く理由がある
南部鉄器には、伝統工芸品に代表する盛岡鉄器と日用品として身近で実用性のある水沢鉄器の2つがあります。岩手県奥州市水沢の土地には古くから砂鉄や鉄鉱石、良質な砂、粘土、燃料となる木炭など鋳造において必要な資源が豊富にありました。豊富な資源の土地には、良い作り手が集まると言います。また船での運搬に容易な北上川に恵まれていたこともあり、自然と鋳物づくりが栄えていきました。

鋳物は型づくりから
まず「生型(砂型)」づくりからはじまります。鉄急須を作るには、溶かした鉄の液体「湯」を流し込むための型が必要になります。水沢ではもともと生活に根付いた鍋や農耕具を作っていたので、昔ながらの「焼型」ではなく、生産性を重視した砂で作った型に鉄を流し込んで作る「生型」製法が取り入れられてきました。「生型」製法は、南部鉄器が存続するために生まれたものです。岩清水久生氏は、生産数が限られる「焼型」製法より、地域と従業員の生計を支えるために「生型」製法は必要不可欠だと考えています。そのために「焼型」で作られた昔の作品をリスペクトし、その技法などを理解したうえで、「生型」製法に真摯に向き合わなくてはいけないと日々研究を重ねています。
「生型」は、”マスターピース”というアルミの型に、砂と水、凝固剤を混ぜたものをプレスして作ります。昭和に入ってさらに安定したモノづくりを確保するために、”マスターピース”を機械で作り生産性を上げています。(機械を導入せず手作業で作ると2〜3ヶ月は要するため)「生型」は、あとで流し込む「湯」が固まったときに取り出し易いように、上下に分けて作られ、さらに”中子”と呼ばれる「湯」を入れる空間を作るための型も別に用意します。この生型は一度使ったら都度壊してしまうというので、なんだか勿体無い気がしますが…これを考えてもひとつの鉄急須が仕上がるまでの工程の多さは計り知れません。
「生型」は、”マスターピース”というアルミの型に、砂と水、凝固剤を混ぜたものをプレスして作ります。昭和に入ってさらに安定したモノづくりを確保するために、”マスターピース”を機械で作り生産性を上げています。(機械を導入せず手作業で作ると2〜3ヶ月は要するため)「生型」は、あとで流し込む「湯」が固まったときに取り出し易いように、上下に分けて作られ、さらに”中子”と呼ばれる「湯」を入れる空間を作るための型も別に用意します。この生型は一度使ったら都度壊してしまうというので、なんだか勿体無い気がしますが…これを考えてもひとつの鉄急須が仕上がるまでの工程の多さは計り知れません。
研ぎ澄まされた感性が宿る
湯(約1,500℃に溶かした鉄)を生型内にできた空洞部分に流し込みます。生型を壊し外すと、中から真っ赤な鉄急須が姿を現します。取り出した鉄急須には、余分な砂やバリ(出っ張り)があるので、それらを丁寧取り除き形を整えます。急須の内部は防錆処理としてガラスと同じ性質を持つホーローを塗布し、600〜700℃の高温で焼成します。最後に表面に焼き付け塗装を施し、つるを付けてやっと出来上がります。この十数もの工程は言うまでもなく、人の手によって生み出されています。こうして出来た鉄急須は、凛とした佇まいで無駄のない削ぎ落とされたフォルムと鋳肌の独特な美しい質感が魅力の逸品です。
空間鋳造の作り手のこと

岩清水久生氏は岩手県盛岡市に生まれ、幼少期を南部鉄器を製造する会社で過ごします。自然と日本の伝統美に触れていたのかもしれないと、穏やかながら凛とした語り口で聞かせてくれました。肌で感じとった感覚が感性となって、昔の優れた作品や鋳物師へのオマージュするかのように、その素晴らしさを今のスタイルに組み込みながら新しい南部鉄器を生み出し続けています。日本人の持つ美意識を活かしつつ、生型製法のクオリティを上げて未来へとつなげていく。そんな確固たる誇りと自信を岩清水久生氏から感じてなりません。
水沢鋳物工業協同組合、及び(社)日本クラフトデザイン協会所属。
1998年にInternationale Frankfurter Messe ’98 Ambiente(ドイツ)にてDESIGN PLUS 賞を受賞。
2000年に「ニューヨーク近代美術館MOMA SHOP」(アメリカ・ニューヨーク)に選定される。
以降、フランスやドイツを含む国内外で数多くの展示会に出展し、2003年に日本クラフト展にて優秀賞を受賞。
2004年には工芸都市高岡2004クラフトコンペにてグランプリを受賞するなど、多数の受賞歴を誇る。
2016年には第266代ローマ法王(フランシスコ)への献上品製作も手掛ける。
現在も危険と隣り合わせの暑い工房で、伝統を受け継ぐ者として真摯に製作し続けています。
水沢鋳物工業協同組合、及び(社)日本クラフトデザイン協会所属。
1998年にInternationale Frankfurter Messe ’98 Ambiente(ドイツ)にてDESIGN PLUS 賞を受賞。
2000年に「ニューヨーク近代美術館MOMA SHOP」(アメリカ・ニューヨーク)に選定される。
以降、フランスやドイツを含む国内外で数多くの展示会に出展し、2003年に日本クラフト展にて優秀賞を受賞。
2004年には工芸都市高岡2004クラフトコンペにてグランプリを受賞するなど、多数の受賞歴を誇る。
2016年には第266代ローマ法王(フランシスコ)への献上品製作も手掛ける。
現在も危険と隣り合わせの暑い工房で、伝統を受け継ぐ者として真摯に製作し続けています。
空間鋳造の商品一覧
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