山只華陶苑

高田焼 山只華陶苑

屋号は“山只“。岐阜県多治見市高田町に、初代藤兵衛は寛政六年に”藤兵衛窯”を築きます。「何も無いところ(無一文=只)から生み出す」を信念に、己を戒めるために付けた屋号。窯に始まり窯道具に至るまで、すべてを作ることからはじまります。「高田の土をよく知ること」、「独創と革新」、歴代藤兵衛に引き継がれてきた哲学であり、「山只」の原点です。あまり知られていませんが、日本有数の歴史をもつ高田焼(たかだやき)。高田焼は、美濃焼の一つとして高田・小名田を中心に焼かれる焼き物の総称。美濃の産地の中でも高田地区は、古くから良質な粘土や釉薬の原料が揃う地域で、1200年前から焼き物が焼かれていました。歴史的には400年前に陶祖加藤与左衛門が、窯を築いたことにはじまる土地柄です。

 1. 地元高田で採れる土

高田焼に代表される青い土の原土を、青土(あおと)と言います。掘り出した土の色が、少しネズミがかった青色をしています。耐久性が高く、焼き上がると吸水性がほとんどなくなるため、すり鉢を作る土としてはとても優れています。すり鉢の内側をすり目に沿って触れると、”ザラッ”とする感触がお分かりいただけると思います。これは高田の土の性質や土の製法に由来します。原土から余分なものを取り除き粘土にする過程で、細かな粒子に粗い粒子が入り込み、ざらつきが生まれます。このざらつきが摩擦力に繋がります。この土の持つ性質を知り活かすこと、それがこの土を使い続ける原動力になっていると言います。

 2. 波紋櫛目の利点

美しい曲線の波紋櫛目(はもんくしめ)は、「すり鉢って左利きには摺りにくいんだよね…」の一言から生まれました。
すり鉢は、すり目がすり鉢全体に施されていることから、どの面でも摺れると思われがちです。しかし七代目の加藤智也さんは、すれている場所は擂粉木がすり目に逆らっている場所だけなのではないかと…疑問を持ちます。そこで意匠と作業性を考慮して、様々なすり目のテストを重ね、約9年かけてこの波紋櫛目に辿り着きます。普通すり鉢の目は直線に引かれていますが、このすり鉢は美しい曲線で描かれています。これは食材を上へ逃しにくく、摺りあがりがキメ細かくなるように考えられたものです。あたったその場で摺れていくため、作業効率が良いのも特長のひとつ。食材への摩擦熱が少なく、香り高い摺り上がりで、力のない高齢者の方にも少ない力でお使いいただけます。波の文様にすることで、開発のきっかけにもなった右回しにも左回しにも利き手に関係なく摺ることを可能にしたすり鉢です。

 3. 青土に含まれる粒子

すり鉢はその性質上、長く使っているとすり目は身を削って摩耗していきます。しかし青土独特の粗い粒子がその摩耗する際にできる欠けの鋭さをガードするため、安心してお使いいただけます。これも青土がもたらす効果ということは言うまでもありません。程よい重さで安定感があり、土肌が手に馴染み持ちやすい、ひとつは持っておきたい道具です。

作り手 加藤智也さんのこと


全ての画像提供元:山只華陶苑株式会社

代々受け継がれてきた技術と信念を守りつつ、新しい試みにも挑み続ける、藤兵衛窯七代目の加藤智也さん。
すり鉢はとことん使い手の考えを取り入れて制作されています。またそれとは別に自分と土との関係性だけで成り立つ、ご自身の作品づくりも並行していて、数々の展覧会で受賞する気鋭のアーティストとしても活躍されています。国際的な陶芸コンテスト「長三賞展」大賞、朝日陶芸展、陶芸財団展、陶芸ビエンナーレなど。
そんな数々の賞を受賞している加藤智也さんは、とても親しみやすく、優しさに溢れる方です。そんな昼夜問わず、真摯にものづくりに取り組まれてる素敵な作家さんのすり鉢をぜひお手に取ってみてください。
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