大阪の老舗鍋工房「姫野作.」



手打ちによる鍋作りを続ける姫野作.
大正13年から続く大阪の老舗鍋工房 姫野作.さん。3代目の姫野寿一氏は、国内に数人しかいない手打ち鍋の作り手です。この工房から生まれる全ての鍋には「姫野作.」の刻印が打ち込まれています。鍋の仕上げに打ち込まれるこの刻印には、職人の技術と誇り、「使い手と一生付き合えるもの」という工房の願いが込められています。ひとつひとつ丁寧に作られた姫野作.さんの鍋を実際手に取っていただければ、その思いが伝わるはずです。

 


一枚のアルミ板が鍋になる
「姫野作.」の鍋作りは、まず必要なサイズに切り出したアルミ板を木槌で叩き形づくるところから始まります。側面を80度の角度になるまで立ち上げると、カンカンカンと一定のリズムで木槌の音が工房に鳴り響き渡ります。少しずつアルミ板が伸びることで、形を作り出し、硬化しながら鍋へと変貌していきます。驚くことに、この叩く音の微妙な変化を聞き分けて、アルミが締まってきているかを見極めながら作業は進んでいきます。これぞまさに、長年の経験でしか成し得ない五感で感じながらのものづくりです。真冬でも汗だくになるほどの体力仕事だと姫野さんはおっしゃいます。

 


雪結晶のような槌目が強さの秘訣
鍋が形づくられたら、金槌で鍋肌に仕上げの槌目を打っていきます。仕上げの金槌は、一発で決めなければ、綺麗な槌目になりません。一番神経を使う作業です。この仕上げの作業で木槌の傷は消え、さらにアルミが締まって硬く丈夫になっていきます。アルミは本来手で簡単に曲げることができてしまう柔らかい金属です。それを丁寧に叩き締めることで硬く頑丈に生まれ変わります。鍋の底面は、中心から円を描くように等間隔に叩きます。美しい鎚目にするために同じ場所は絶対に叩かず、金槌をどこに振り下ろすのか、それは職人の勘だけが頼りです。揃った美しい槌目を作れるようになるまでには、10年以上はかかるそうなので、長年の経験で培った職人の勘と卓越した技術が、美しく揃った鎚目を生み出し、ひとつの鍋に仕上がるのです。

 


全国の料理人が好んで選ぶ信頼の逸品
特に底面と側面の立ち上がりの角のカーブは、強度を上げるために1回ではなく念入りに細かく叩いて仕上げます。 1つの鍋を作り出すのに、400〜500回叩いて仕上げていきます。機械より精巧で趣のある鍋は、職人の手打ちでしかなし得ない技術です。いかに槌目を均等に綺麗に打つか、道具や座り方、力の入れ方など様々な角度からものづくりを探求し、技術を継承しながら使い手が喜ぶ揺るがないものづくりが続いてきます。

 



姫野作.の作り手のこと

全ての画像提供元:有限会社姫野作.

姫野寿一氏とはじめてお会いしたのは、10数年ほど前のことで、とても面白くて人間味あふれるステキな方です。そんな姫野寿一氏の手ひとつから生まれる鍋は、もちろん素晴らしいの一言につきます。実直にひとつひとつ丁寧に打ち込む槌目、実用性に優れながら、美しさも兼ね備えている唯一無二のものだと思います。
姫野寿一氏は30歳のときに、祖父が立ち上げた工房を3代目として継がれます。「幼少期、学校から帰ると毎日、鍋をカンカンと叩く音が聞こえてきて本当にイヤだった」と、笑いながら語りつつ、代々受け継がれきた技術を継承している姿は、鍋づくりが本当に好きなんだなと感じてなりません。調理器具だけに留まらずオブジェなども手掛けられている大阪を代表する作り手のお一人です。現在は技術を継承されながら、作り続けられています。

 



姫野作.の商品一覧

本格手打 行平鍋 6寸/18cm 両口
¥14,300
本格手打 行平鍋 7寸/21cm 両口
¥17,600
本格手打 段付鍋 8寸/24cm
¥40,700
本格手打 段付鍋 9寸/27cm
¥47,300